2006年11月5日日曜日

「StingRayの魅力4」

~ピックアップとサーキットの魅力~
まだ、パッシブサーキット全盛の時代、多機能を売りにしたベースが数多く登場したのは70年代後半だった。B.C Rich、Arembic、そしてMusicman。新素材を使ったベースもあったが(アルミネックなど)、それは今回横へ置いておくとしましょう。

タップSWやバリトーン、ブースターを装備したB.C Rich、パラメトリックEQを装備したArembic。どれも使える音やポイントが少ないにも拘らず、複雑だったり、電源を供給しないと使えないなど現実的ではなかったな。

StingRayのEQは、フェンダーアンプと似た回路設計になってるらしい。元の音が良いから、アンサンブルや現場の状況に応じて自在に補正できる。しかも内臓なのでノイズにも有利。レコーディングもラインでの録音が中心となり、よりベースサウンドが前面に押し出されるアレンジが多くなった時代の背景も後押ししたのかな。現在生き残ってるアクティブEQは殆どこの方式だ。このサーキットも時代と共に周波数設定などが変更されてる。この時期の物は2EQで、TreはパッシブでカットOnly、BaのみアクティブでブーストOnly。オペアンプは1つだそうだ。当然各ツマミ共センタークリックはない。Treは絞る事になる訳だから、ノイズも減らす方向になる訳だ。上手く考えましたね。バッテリーは超低消費設計で、プラグインした状態で2年位持つそう。かなり電圧が下がっても正常に作動する。以前、プレ・アーニーのピックアップはシリーズ(直列)と言うのが良く言われていたが、そうじゃないらしく最初からパラレル(並列)なんだって。ま、どっちでも良いけど(笑)。アーニー以降のポールピースの方が錆び易いんじゃないかな?

殆どの人がStingRayサウンドと言うと、ブライトなサウンドを連想するだろう。確かに現行StingRayはサーキットでMidを追加した変わりに、80Hz以下をバッサリとカットしてるらしい。カラッとした抜けの良さを狙ってるんでしょう。しかし、このベースの最大の売りはボトムなんです!プレ・アーニー物のBaは恐らく50Hz辺りがポイント。バルトリーニのTCTシリーズが30Hzですから、そこまで低くない。その太いLowは、アンサンブルをくっきりした輪郭を持って包み込みます。私の設定は「5」です。

次に中域。実はブライトさじゃなくて、この中域のクセがたまらないんです。ズィッ!ズペィン!上手く例えられませんが、ちょっと鼻にかかった女性の声に似てるかな(笑い)。誰が聞いても「あ!Musicmanの音!」と分かります。500Hz辺りに特徴があります。これは弄れませんので、予め存在するサウンドです。

最後にTre。決して上げ過ぎてはいけません。厳禁です。多分4Khz周辺がピークかな。StingRayのセッティングは(まあ、個人の自由ですが)、Lowで太さを決めたらTreを絞っていきます。私の設定値は「2」。3を過ぎた辺りからキンキンした感じが無くなって、艶っぽい高域になります。そう、「濡れた様な」トレブル・・・。このポイントを探せば良いんです。是非この妖艶なサウンドの虜になって下さい(誰が?笑)!

巷には「EQ全開っすよ!」なんて輩が残念ながら多い事。音質補正じゃなくて、ブースターと勘違いしてるんでしょうね。もったいないやら情けないやら。ベースはね、色気が無くっちゃいけませんよ。Rayの毒に犯されてみませんか?

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